ましゅうの工作室

ぶどう色な客車の製作記とか

オハ35を作る(4)

4回目の今回は戦後型に話を戻して屋根の話。

戦後製のオハ35の一部は鋼板屋根を採用しており、継ぎ目に溶接ビードが残っている。GMキットでも表現されており、上から眺める事の多い模型では良いアクセントになる事から表現することとした。実車では大井川鐵道のオハフ33469等が現存している。

鋼板屋根採用の背景として、当時の物資や熟練作業者の不足がある。屋根の鋼板についても全数を同じ大きさの素材で揃えられなかったためか、車両によって継ぎ目の位置に差がある。具体的寸法に関しては明確な資料は無いものの、工房ひろ殿に伺ったところによると素材寸法はフィート単位であることから、900mm(3ft)前後と1200mm(4ft)前後と推定される由。先人に直接教えを乞う事ができるのはSNSの有難いところである。なお、最終的には4ftを基準にタイトルカットの画像と車体長から寸法を割り出した。

ちなみに生田緑地のスハ42は3ftタイプの現存車とみられる。

さて、模型にするにあたって悩ましいのが、ビードをどう表現するか。木製屋根が原設計なので、荷重を負担しない屋根鋼板の板厚はさほど厚くは無いはずで、したがってビードもそれほどは太くないはず。実際、写真でも突起があるというよりは線が見える程度である。

とはいえ前述のGMキットや他の完成品と表現を合わせる事を考えると凸表現としたくなる。ということで、ランナー引き延ばし線の要領で引き延ばした半丸のプラ棒を貼って表現してみた。

丸以外の断面で引き延ばす技法は40年位前のTMS誌上で発表されていたもので、いつか真似しようと思っていたもの。

多少強調した表現としても、太さ0.2〜3mm程度にはする必要があり、そのための火加減が難しく、成功率3割はほど。数をこなして必要な量を確保した。

屋根自体はアルモデル(元キングス)のものを用いたが、表面のシボ加工はサンドペーパを掛けて消してある。

貼り付けは流し込み系でさっと。位置決めは張力を掛けて置くだけでは直線が出ず、マスキングテープを所定の位置に貼り付けてガイドにした。接着剤が染み込まないか心配になるが、シボ加工を消したこともあってか、テープをしっかりと貼り付けておけば問題無かった。

キニイラナイ病を発病して側板に怪しげな気配が漂いつつあるものの、屋根、側、妻が揃ったので、記事にもできない中途半端な状態の床下も、そろそろ形にしなければ…。